『アメトーーク!』で蘇る、長渕剛の思い出

10月23日に放送されたアメトーーク!を観た。今回のテーマは「長渕剛芸人」だった。

僕自身、鹿児島県出身ということで同郷の長渕にはある程度親近感もあるし、なにより人間性はおいておいてアーティストとしては好きだ。

番組の中では、定番のあるあるや活動の年表などを扱っていて、普通におもしろい回だったし、ちゃんと録画もした。

そんななか、気になるシーンがあった。

それはペナルティのワッキーが、以前くりぃむしちゅーの『くりぃむナントカ』という番組で長渕と軽く会話のラリーを交わしたことを強烈に感激したことを覚えている、という趣旨のものだった。長渕、出身地を「故郷(くに)」と呼ぶらしく、ワッキーは長渕が「ワッキーの故郷(くに)はどこなの?」と聞いてくれたことに対してえらく感激したという。

 

実はこのときの放送、僕もリアルタイムで見ていた。

 

中学のとき、長渕が好きでそれなりに聴いていた。

そんなある日、同じく彼が好きだった友人が「おい!来週、長渕がくりぃむしちゅーの番組に出るらしいぞ!」って興奮気味に教えてくれたことがあった。それが先述した番組のことだった。

当時、長渕がテレビに出ることなんてあまりなかったし、しかもバラエティ番組に出ているところなんてほとんど見たことがなかった。なので、「これは見逃すまい」と、当日の新聞のラテ欄にサインペンでマーカーまでして、当日はテレビの前でドキドキしながら放送を今か今かと待っていた。

放送自体は、正直あまり覚えていない。

ただ、長渕がバラエティ番組に出ていたこと、そして初めてテレビで「Myself」を聞いたことだけははっきりと覚えている。

そして、この一連の出来事――すなわち、「好きなモノを仲間で共有する」という経験、しかも「テレビでみんな同じ時間に同じモノを見ている」という連帯感のようなものは、中学時代の思い出というインプットとして強烈に刻み込まれた。

 

あっ、そういえば。

初めて長渕の曲を聴いたときのことも思い出した。

小3のとき、母と2人で田んぼ道沿いを軽トラに乗っていたときにラジオで『巡恋歌』が流れていた。「これ、なんて曲?」って聞くと、母は「長渕剛の巡恋歌だよ」と教えてくれた。その数日後には長渕のアルバムを借りて、カセットテープに録音して毎日聞くようになった。

その数年後、家族で帰省する際にカーラジオから長渕の『しあわせになろうよ』が流れてきた。このときは父に「長渕好き?」と聞くと、「この曲は嫌いだけど、『桜島』は好き」とだけ教えてくれた。僕も、『桜島』が好きになった。

 

以前、友人のid:pepsi_1117が「「音」と「匂い」は記憶を呼び覚ます力がある」、と言っていた。これはたしかにその通りで、昔聴いていた音楽や、住んでいた家など、「音」と「匂い」でその当時を連想することはよくある。

 

ただ、僕はこれに「テレビ番組」も付け加えたい。

一瞬だけ写った2006年の『くりぃむナントカ』と、その番組を観るに至った経緯が『アメトーーク!』によって、鮮明に蘇ってきた。たぶん、これはこの先もずっとこういう機会がある度に思い出すんじゃないかなと思う。