すべてのラジオ局はTOKYO FMを見習え

こんな記事を読みました。

r25.yahoo.co.jp

去年のちょうどいま頃くらいから、半年くらい試みていたこととそのままリンクしている内容だったので少し驚きました。その内容に関してはこちらをご覧ください。

(参照:放送のネット“文字おこし”は問題あるの? (THE PAGE) - Yahoo!ニュース

 

以前から「見えるラジオ」というものはあった

よく調べると、実はTOKYO FMでは以前から「見えるラジオ」というものをやっていたみたいなんですよ。2014年3月に終了してしまったそうなのですが、サービス開始の1994年から20年近く、運用されていたそうです。

実際にはこんな感じの端末を使って、番組放送を聴きながら文字での情報も追えるというものです。

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「見えるラジオ」は、放送番組を聞きながら、独立した複数の文字情報を同時に受信できるもので、液晶画面のついたラジオ(「見えるラジオ」)で、文字情報を繰り返し見たり、メモリーで保存できる、まさに”ラジオの革命”と呼べる画期的な放送サービスです。

「革命」かどうかは定かではありませんが、まぁたしかに災害時に重宝しそうな画期的なサービスであることは間違いありません。

http://www.tfm.co.jp/mieraji/

「TOKYO FM+」は「見えるラジオ」とは全くの別物

で、今回リリースが発表された「TOKYO FM+」は「見えるラジオ」とは全くの別物といっていいでしょう。

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TOKYO FM+

 

このサイトに掲載されている記事では、放送ごとに、その中で行われていたやりとりや、その他番組に関連する情報を取り上げています。以下が一例です。

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福井の人が使う“つるつるいっぱい”ってどんな意味!? - TOKYO FM+

 

このようにWeb上に「記事」という形でテキスト化して残しておくことは、非常に意味のあることだと思います。検索ワードとして引っかかり、そのものの放送を聞いていなかった人でもその情報を手に取ることができる。

これはまさに、ラジオ番組という「フロー」型のコンテンツを「ストック」型に変換することであり、僕のなかでは、放送を終えて一度死んでしまったコンテンツに新たに息を吹き込むようなイメージですらあります。

例えば、僕が「オードリーの若林さん、前に漫才についてどんなことを語ってたんだろう…?」と思ったときに、ググってみると、このように「世界は数字で出来ている」の記事が1ページ目に上がってくることがあります。

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この中にはテレビでも雑誌でも話していないエピソードがいくつか含まれていたりして、調べている人にしてみるとすごくありがたいわけです。

まさにこれが、「ストック」型のコンテンツに変換された結果であり、新たなテキストコンテンツとして、ニーズのあるところに価値を生んでいるのです。

しかも、今回の「TOKYO FM+」はスマートニュースのチャンネルも開設しており、「検索結果として得たい」という層以外の、特定の情報を求めているわけでもない層にもリーチすることができます。これをラジオ局が公式でやるのはなかなか革命的なことだな、と。

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http://tfm-plus.gsj.mobi/news/smartnews.html

現時点では、まだ物足りない

ただ、この「TOKYO FM+」に関して、現時点ではまだちょっと物足りない感じがします。ひととおり記事を読んでみたのですが、まだ「ラジオの放送とそれに付随するニュース」くらいの記事が多く、「情報」としての色味が強い気がします。

イメージとしては、こんな感じですね。「ラジオ」という枠のなかから、記事としてWebに公開しているいまの現状がこれです。

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で、僕が「こうなったらおもしろくなるだろうなぁ〜」ってのがこんなイメージです。

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ラジオという枠から捻り出すのではなく、それをひとつの要素としてうまく利用しようという発想に近いかもしれません。放送内で話せなかったトークなり、パーソナリティのコラムなり、なんでもいいですが、Webと融合する形で、新たに+αの価値を付加した上で息を吹き返してくれたら、リスナーもそうでない人にとっても意味のあるコンテンツが生まれてくるんじゃないでしょうか。

イベントに関してはいままさにJ-WAVEが、オフラインでのライブイベントにも注力していますね。

www.j-wave.co.jp

事実、LINEの田端さんがJ-WAVEのHELLO WORLDに出演された回に、「ラジオはこのままだと、ゆーっくりだけど確実に死ぬ」とおっしゃっていたのですが、それはこの枠内で収まろうとしすぎているからなんじゃないかなと思います。

で、いま「HELLO WORLD」の音源を探したのですが、見事に消えてますね。この番組はYouTubeにアーカイブされてる番組なのですが、期間が過ぎたのか、もうアップされていませんでした。こうして、ひとつのコンテンツが本当の意味で葬られていくわけです。もったいない。

 

というわけで、今回の件に関してTOKYO FMには非常に期待しています。これを足がかりに、J-WAVEとか、ニッポン放送、TBSラジオあたりが重い腰を上げてくれると最高なんですけどね。

今後数年間のそのあたりの動きで、各局の明暗がはっきり分かれそうですね。


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