高専が「向いてない」と思ったら、大学編入を目指してみるといい。

僕は工業高等専門学校・通称”高専”の出身なんですけど、卒業して3年以上経ったいまでも、高専に対するあるひとつの問題意識というか、課題みたいなものを抱え続けているんですよね。

高専から大学に編入し、Web系の編集者/ディレクターという、専攻していた機械系のエンジニアとはまったく関係のない仕事をしている身として、「あぁ、こういう人もいるんだ」と知ってもらいたいなと思ってたりするんですよ。

 

入学してから「思ってたのと違った」は全然ありえる

上述した「課題」というのは、中学から高専に入学したあとに「あっ、なんか思ってたのと違うわ」「エンジニア、向いてないかも」とミスマッチが起こってしまうことです。

高専という特殊な学校に通う以上、そういう人が出てきてもなんら不思議ではありません。15歳の子供が、その道(土木や機械、情報系など)のエンジニアになることを目指して高専という学校に進学したところで、心変わりをしてしまう可能性もありますし、そもそも最初から適正がない場合だってもちろんあります。

僕がまさにそうでした。

入学してすぐの「工学実習」という授業で、鋳造の実習をしたとき(鋳造とは、金属を溶かして砂などでできた型に流し込み、目的の形を形成する加工法のひとつ)に感じました。「あっ、なんか違う」と。

それからはけっこう苦痛でしたね。なんせ15歳から20歳までの5年間、そこまで好きではない分野の勉強をし続けないといけないわけですから。

それに、あまりに勉強しなさすぎるとカンタンに留年してしまうのも高専の特徴。普通高校で稀に留年する人っているじゃないですか。あんな感じの比じゃなくて、もっとガンガン留年していきます。結果的に、入学式から卒業式にかけて、2割〜3割くらい人が減ります。そうして留年した学生は、頑張って進学するか、大抵の場合はそのまま辞めてしまうんですよね。

 

とりあえず、「大学編入」を目指してみよう

そんな、「ちょっと違ったわ…」と悩みを抱えている高専生に伝えたいのは、「いったん、大学進学を目指してみよう」ということです。

高専は、卒業後に就職か、進学(高専の専攻科 or 大学の3年次編入)という2つの選択肢が選べます。そこで、それまでの経験から「エンジニアには向いてない」と思ったら、ぜひ「大学の3年次編入」を目指してみてください。専攻科ではダメです。ダイナミックな環境の変化は望めないので、ぶっちゃけあまり意味がありません。

そして、できることなら東京に近い大学を選んでください。東京がベストですが、それが無理なら、埼玉でも神奈川でも千葉でも大丈夫です。とりあえず、関東地方を目指してみましょう。

そうすると、なにが起こるのか。高専から編入するとなると「工学部」への進学となりますが、「高専◯◯学科卒」と「工学部◯◯学科卒」では、進学先の選択肢がかなり違ってくるんです。大学にくる求人票には、高専には来ないようなものもなかにはあります。

つまり、就職先の決定を、高専から大学工学部卒業時まで先送りことで、就職先の選択の幅が広がるんですよね。加えて、関東に近ければ近いほど、多種多様な求人があります。大学の外でもなんらかの関係を作りあげることで、それが仕事に繋がるかもしれません。東京は、それが断然やりやすいです。

基本的に、大学進学をする高専生はどちらかというと意識が高く優秀な学生が多いです。けれど、そうした「後ろ向きな進学」も全然アリだと思います。実際、僕は「高専で就職したくない」の一心で、逃げるように大学に進学し、非エンジニアの道を歩んでいます。

参考:カンタンに中堅大学に入りたいなら高専から編入すればいいよ

 

もっと、いろんな「高専卒の未来」が知りたかった

なんで今更こんなことを書くかというと、僕自身、高専にいたころにいろんな高専卒の未来が知りたかったというのがあるんですよね。

高専出身者のそのほとんどがエンジニアになります。けれど、そうならない、なれない人たちの進路をもっと知りたかったんです。なんせ、入学して1週間で「エンジニアは無理だ」と思ったくらいですから。

だから、こうして「高専を出たけど、エンジニア以外の生き方をしている」みたいな情報ができるだけほしかったので、こうしてなにかしらアドバイス的なものを残せればいいなと。

 

もし、このエントリが「高専 思ってたのとちがう」と検索してくれた高専生の目に止まって、「あぁ、そういう道もあるなら大学に行ってみようかな」と思ってもらえたら幸いです。

 

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