ピース・又吉の「又吉っぽいなぁ」と思うツイートをまとめてみた
最近はもっぱら芸人のTwitterの傾向について調べることにハマっています。そんななかで特に異彩を放っているのがピース・又吉さんです。 それにしても、「もっぱら」の「もっぱら感」はすごいですね。
ピースといえば、最近はテレビで見ない日はないくらい活躍されている売れっ子芸人であり、キングオブコント決勝出場経験を持つなど名実ともにまさに「期待のホープ」とも言える存在です。テレビ好きなら知らない人はいないでしょう。
さらに又吉さんと言えば自他共認める「本大好き芸人」であり、雑誌でのコラムを担当するほどなのです。
趣味は散歩と読書で、通算2,000冊以上も本を読んでおり、活字が躍りだす夢を見るほどの読書家。好きな作家として、太宰治[4]、芥川龍之介[3]、古井由吉[5]、京極夏彦、中村文則等を挙げている。「太宰治ナイト」「松尾芭蕉ナイト」などのイベントを主催している[6]。また同人誌即売会 (文学フリマ)に足を運ぶこともある[7]。携帯の待受け画面は太宰治(昔正岡子規だったことも)で、以前に三鷹市下連雀の築60年以上の風呂なしアパートに住んでいた時期があったが、過去に読んだことのある「太宰の家から吉祥寺への行き方」と同じであったため三鷹図書館で詳細に調べてみると、その住所が太宰家の旧住所にあたることが判明した[8]。
こちらのインタビューは、本に対する思いや本を好きになったきっかけなどが語られていてファンでなくとも十分おもしろい内容となっています。
芸人随一の読書家ピース 又吉 直樹がGALAPAGOSに出会った!
お笑い界イチの読書家! 「ピース」又吉直樹流、本の選び方、楽しみ方 日経トレンディネット
国語の教科書の便覧に載っているような作品が、どうやら自分の好みらしいと気づいて、芥川龍之介から太宰治、三島由紀夫などの純文学を読みあさりましたね。中学、高校の電車の行き帰りに、新潮文庫などで読んでいました。
やはり、ネタや言葉のチョイスにも「本をよく読むひと」だなぁと思わせるような深みというかセンスが感じられますね。これらの特徴を存分に活かして「第二図書係補佐」という本も出版されています。
お笑い界きっての本読み、ピース又吉が尾崎放哉、太宰治、江戸川乱歩などの作品紹介を通して自身を綴る、胸を揺さぶられるパーソナル・エッセイ集。巻末には芥川賞作家・中村文則氏との対談も収載。
なんだかほっこりするショートショートを読んでいるような気分
芸人さんのツイートは、基本的には素人のそれにはない独自のおもしろさがあるのですが、又吉さんのツイートは特に独特なものが多い印象です。
ここでべらべら説明するのもナンセンスなので、僕が特に「又吉さんっぽい」と思ったツイートを14個選んだので紹介します。
昨日の真夜中に一人で蕎麦屋に行った。店員さんが「またのお越しをお待ちしてます」と言ってくれたのが、凄く嬉しかった。でも、今日行ったら、ひきはるかな。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 7, 2014
お好み焼き屋で、読書していたら、知らない男性に『お前、楽しくなさそうだな』と言われました。大好きなウインナーを食べながら本。そして俊輔さんMVPの報せ。凄く楽しい時間を過ごしていたのですが。今は憂鬱に支配されて今夜はもう駄目そうです。明日に期待します。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 10, 2013
初日の出に注目が集まるここ百年ですが、その年の最後の日の入りには挨拶せんでええんかな。どちらかと言うと夕陽に励まされてきた人生なんです。どっちも一緒なんかな。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 31, 2012
散歩中、誰もいない公園を通った。チャンスだと思い、久しぶりにすべりだいを滑ってみた。すべりだいは、露でビチョビチョだった。タクシーの運転手さんと目が合った。自爆したことを悟られるのが恥ずかしくて、しばらく、お尻が濡れていないような顔で、すべりだいに座り続けていた。自意識捨てたい。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) October 22, 2012
数年前に提灯が面白くて仕方無い時期があった。提灯を見ると笑いを堪える事ができなかった。なぜ、あんなに面白かったのか解らない。だが、先程『おでん』と書かれた赤い提灯を見た瞬間、鼻がピクッとなった。提灯再ブームの萌芽が見えた。しかし『御用』と書かれた手持ちの提灯は例外で、常に笑える。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) September 28, 2012
もう24時を過ぎて7日になったけど、今から振り返って全力でダッシュすれば、まだ6日に戻れるような気がする。まだ匂いは6日のままだ。ただ僕には実際に走りだす勇気が無いのだ。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) August 6, 2012
コンビニで買い物をしてたら『財布を落とした』と言う人が来た。店に財布の届けは無く、その人は帰った。今度は『財布を拾った』と言う人が来た。凄く可哀想に思ったので、僕は店を飛び出し、財布を落とした人を追いかけた。発見し、声をかけた。しかし、気持ち悪がられて全速力で逃げられた。無念だ。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) July 14, 2012
浮かれていたのか、お土産を買った。イチゴをチョコレートでコーティングしているやつだ。あげる人がいなかった。一人で食べた。人に貰った時は、もっと美味しかった。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) June 11, 2012
職務質問を受けた。だが、警察官が僕のカバンをおしゃれだと褒めてくれたので、嬉しかった。遅くまで御苦労様です。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) 5月 7, 2012
昔、CDと古本を売っていた店が、速そうな自転車を売る店に変わっていた。『やる気 元気 求む!』という求人広告に怖じ気づく。やる気君と元気君が売る自転車はとても速そうだ。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) April 20, 2012
公園で遊んでいた子供に、『おっ、又吉じゃん。めずらしい』と言われました。昔よく通っていた定食屋を数年振りに訪れた際に店の主人が言いそうなセリフと雰囲気でした。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) February 10, 2012
門松を数えながら歩いている。門松の佇まいは五十代の頑固な父親のようだ。門松は少なくとも十代の女子とは似てない。百個、数えたら帰る。そう思ってたけど、あまり無いから五十にする。あれは観葉植物だから数にいれれない。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 30, 2011
『下北沢まで、お願いします』とタクシーの運転手さんに伝えたら、『ラッキー!ちょうど下北沢に行こうと思ってたんですよ』とおっしゃいました。危うく僕もラッキーな気分になるとこでしたが、よくよく考えると僕の状態には何の変化ももたらさない出来事でした。でも、なんか嬉しいです。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) December 18, 2011
構成作家の大塚君と茶碗蒸しを食べた。とても美味しかった。だが茶碗蒸しがブルガリアでデザートとして出されストローで食べていたとしたら自分は美味しいと感じれただろうか。『エビ入ってるやん』とひいていたのではないか。自分の味覚に自信が無い。
— 又吉直樹 (@matayoshi0) November 14, 2011
その時々に起きた出来事や心情の変化を情感的に表現しているものが多いです。それでいて、人見知り的な部分や「自意識過剰な自分」に悩む様子などなんとも人間臭い感じもたまらないです。
インタビューでは「僕なんて平凡な人間です」と語ってはいますが、こういう日常の些細な変化を切り取って140字の中でこうして表現できるのは立派な才能だと思います。なんだか、小説が読みたくなってきましたね…。
昨年発売された、こちらの随筆集「東京百景」も又吉さんっぽさがたっぷり詰まったいい本みたいで、オススメです。
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