生チョコのロールケーキ

約1年3ヶ月ぶりに、鹿児島の実家に帰省している。(実際に、実家で書いている)

一昨年の年末はバイトやら卒研やらで時間が取れず、去年は「みんなが帰省するため旅費が値上がりしている年末に、わざわざ合わせて帰る必要はない」との判断から帰省を見送り、今回こうして年明け今週末に帰ってきた。

実際この時期に帰ってきてみると、「年末年始感」は全くないが、そもそも帰省自体が僕にとってはそこそこ大きなイベントなので、そんなに残念な感じはしないことが分かった。むしろ、店が閉まっていたりすることがないので、2〜3日過ごす分には勝手がいい。これからも、年末年始は外して、1月の2,3週に帰省を実施しようかと思う。

やはり1年以上地元を離れていると、結構その様子は変わっていた。近くの温泉施設がだだっぴろいコンビニに変わっていたり、なんにもなかった更地にコンビニができていたり、ローカルチェーンだったコンビニが大手チェーン店に変わっていたり。それは、家の中でもそう。キッチンにあるスポンジが変わっていたり、冷蔵庫の中身のレパートリーが変わっていたり、新しい家電製品が導入されていたり。自分が新天地での暮らしのなかで日々変化を味わうように、元いた場所も変化を遂げている。帰省するということは、この「変わっているもの」と「それでも変わらないもの」を確認して、受け止める作業なのだと思う。

家族全員が仕事に出ている午後4時。空港から実家に帰り、なんとなく冷蔵庫を開けると、生チョコのロールケーキが入っていた。3年前まで実家にいた頃、僕が好んで食べていたものだ。見た瞬間に分かった。それは前日、帰省する旨を伝えていたため、母が帰ってくる僕のためにと買ってきてくれていたものだった。ちょっと泣いてしまった。

そういえば実家を出る前の誕生日、家族に祝ってもらったのを思い出した。たしか、そのときにも食卓にはロールケーキ。いちごのやつだった気がする。その日の夜も、皆が寝静まったころ、一人布団のなかで泣いていた気がする。僕は無償の愛に弱い。

いつまで経っても変わらないそれを確認するためにも、せめて年に1回は帰ってこよう。