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ポスティングスタッフを見て、「仕事とはなんなのだろうか」と考えた

仕事 考えたこと

マンションのエントランスに各部屋のポストがある。

そこには、だいたいいつもチラシが入っている。それらは、高級マンションの勧誘のものだったり、不要品回収会社のものだったり、まぁ言ってみればゴミだ。僕は毎日それらのチラシを、舌打ちをしながら、エントランス入り口のそばにあるチラシ専用のゴミ箱に投げ入れる。要らないからだ。仕事が終わり帰宅すると、まずはポストのダイヤル式の鍵を開け、そのゴミを捨て、自分の部屋に帰るのが日課になっている。毎日毎日、僕は読みもしないチラシを、手に取ってゴミ箱にぶち込む。いや、もはや流れるようにゴミ箱に滑り込ませていく。おそらく、他の住人もそうだし、このマンション以外の人もそうだ。

正直言って、こうしたチラシは迷惑だ。この程度のマンション/アパートに住んでいる人がチラシに入っている高級マンションの情報を欲しているワケがなく、ただただ資源の無駄だとも思う。カラー印刷までして、もっと有意義に使う方法はあるんじゃないか。

とある休日のこと。その人はいた。

夕方にふらーっと散歩でも出掛けようかと思い、建物の中からマンションのエントランスへ出たときだ。エントランスにあるポストに、チラシをひたすら入れている男性がいた。ポスティングスタッフだ。その人は、熱中症対策の帽子を被り、チラシを収容できる専用のホルダーを肩から下げ、首にはタオルを巻き、黙々とチラシをポストへ投函していた。

言葉を失ってしまった。僕ら住人が毎日「ゴミ」だの「邪魔」だのと思いながら、一瞥もくれずゴミ箱に投げ捨てるそれを、ポスティングスタッフは「仕事」として、ポストへ入れていく。そこには善悪もない、ただ「仕事を全うする」真面目がスタッフがいた。

彼らは、事業所で渡されたチラシをマンションのポストへ投函することで、広告の出稿主からいくらかの賃金をもらい、生活の糧にしたり、趣味に充てたりする。そして、僕らはそれをなんの感慨もなく捨てる。

「仕事」とは一体なんなのだろうか。